ウロストミーについて
ウロストミーとは、何らかの原因で膀胱を切除したために、尿管を使い体外に尿を出すために造られた開口部(ストーマ)です。
ウロストミーは、尿管を使う「尿管皮膚瘻」と尿管と腸管を使う「回腸導管」の2種類の造設方法があります。
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※上図では、わかりやすいよう腎臓が胃や腸の前に描かれていますが、本来は胃や腸の後ろ(背中側)にあります。 |
尿は腎臓でつくられます。腎臓は、血液から老廃物や毒素をろ過し、余分な水分なども一緒に取り除いて尿をつくります。人の1日の尿量は、水分の摂取量や発汗、運動などにもよりますが、1500ml〜2000mlくらいとなります。
ストーマから排出された尿を一時的にためておく装具を、ストーマ装具といいます。特徴としては、尿路感染を考慮し、たまった尿がストーマに逆戻りしないよう逆流防止弁がついており、排出口は尿の排出に適した形状になっています。
溜まった尿は、袋の1/3〜1/2になるくらいの量で(間隔は2〜4時間くらいで)、トイレで排出することをお勧めします。飲水量が多ければ、排出する間隔はもう少し短くなります。
長時間尿の処理ができない場合は、レッグバッグ(脚に装着する蓄尿袋)を使用すると、排出の間隔を伸ばすことができて便利です。レッグバッグは、250ml〜750mlの容量の商品があり、生活スタイルに合わせたものをお選び頂けます。ストーマ袋とチューブを接続して使いますので、ストーマ装具とあう製品をお選びください。
就寝時は、夜用の容量の大きな採尿バッグ(1000ml〜2000ml)を使うことで、朝まで安心して眠ることができます。採尿バッグは2週間程度は繰り返して使うことができます。
採尿バッグの洗浄は、酢水(酢1:水3)を接続チューブから流すとよいでしょう。
装具交換について
ストーマ装具を交換する時は、起床後すぐや、飲食後2時間以上経過した時など、排尿が少ない時間帯を選び交換してみましょう。
交換中も尿がでることがあります。筒状に巻いたガーゼをストーマに当て、尿を吸い取りながら周囲の皮膚を濡らさないように工夫して交換すると良いでしょう。
ストーマケアのポイント
ストーマの近くに深いシワやくぼみがあるなど隙間ができやすい場合は、ストーマ装具を貼る時に、お腹のしわを伸ばして貼るようにしましょう。
ストーマの高さがない場合は、ストーマの周りの部分をしっかり密着させ、外側に向かって空気を抜くように貼りましょう。
面板の穴のサイズ
ストーマ装具の面板(フランジ)カットのサイズは、大きすぎると排泄物が皮膚につき、ただれてしまう原因となります。
反対にストーマのサイズにぴったり過ぎると、面板とストーマの粘膜が接触し、傷つくことがあります。貼る前には、カットした面板とストーマを合わせてサイズの確認をしてください。
面板のカットサイズは、ストーマよりも2mm程度大きめを目安としてください。
尿管皮膚瘻の方
尿管皮膚瘻の方は、直接皮膚に尿管が開口しています。
面板が尿管の孔を塞がないように注意して貼りましょう。
カテーテルをご使用の方
ウロストミーでは、尿管が閉塞する(ふさがる)のを防止するため、カテーテルを使用する場合があります。カテーテルが抜けたり、曲がったりしないように注意しましょう。カテーテルから尿が出にくくなったり、発熱、腹痛、腰痛といった症状がないか注意し、兆候がある場合は、急いで医療機関を受診してください。
定期的に交換しましょう
ストーマ装具は、漏れ、皮膚トラブルが起きる前に定期的に交換しましょう。かゆみやひりひりした感じがある場合は、尿が皮膚についているサインです。
面板(フランジ)と皮膚の間に隙間ができていたり、隙間をつたって漏れたりしていないかなどを確認しましょう。
早めの医療機関受診を
ストーマの周囲の皮膚が赤くなったり、痛くなったり、じくじくしたりすると、ストーマ装具が貼れなくなってしまいます。皮膚トラブルは、いろいろな原因によって発生しますので、病院やストーマ外来などの医療機関に早めに相談しましょう。
重さが心配
パウチに溜まった尿の重さが心配な場合は、トイレで廃棄する回数を増やすことが一番の解決策となります。また、ストーマ装具用のベルトや腹帯でパウチを支え、装着を安定させる方法もあります。
においの心配について
尿のにおいが強くなりやすい食品には、ネギ、ニラ、アスパラガス、豆類、玉ねぎ、にんにく、ビール、チーズ、卵、魚介類などがあります。
においをやわらげる食品にはヨーグルト、オレンジジュース、パセリ、クランベリージュースなどがあります。参考にしてください。
ストーマ装具は防臭性がある構造ですので、密閉されている限りにおいはありません。
ストーマ装具の排出口に尿がついたり、パウチにも尿が付着したままになっていると、においの原因になります。トイレに流せるおしり拭きや除菌効果のあるスプレーで、排出口をきれいに拭き取ることをおすすめします。
消臭剤
消臭剤には摘下するタイプやスプレータイプがあり、ストーマ装具の交換時に、パウチの中に入れて使います。
ストーマ装具を装着している間は、尿を出した後、排出口から消臭剤を入れます。消臭剤をスムーズに入れられるよう、出し口が細い商品もあります。
消臭効果のあるカバー
パウチを包むパウチカバーや、レッグバッグを装着するレッグバッグカバー、夜用の採尿バッグのカバーなど、消臭素材を使用した製品もあります。